六本木で培った「高付加価値」の原点
私の富裕層ビジネスの原点は、2000年頃に六本木で開業したフラワーショップに遡ります。
当時はリーマンショック前で、六本木ヒルズが着工し、街全体が大きく変わろうとしていた象徴的なタイミングでした。世の中は活気に満ち、企業の開店や上場祝い、パーティーなどの需要が絶えず、売上は絶好調でした。
しかし、数ある店舗の中からお客様に「選ばれ続ける」ためには何が必要か、どうしたら「価値を最大化して感動を届けること」ができるのかを常に考え、お客様と向き合っていました。単に花を売るのではなく、「なぜその花なのか」「誰にどんな想いを届けるのか」という情緒までを設計し、価格を超えた価値を生み出すことを目指したのです。
当時、私が一貫して大切にしていた明確なビジネスの軸がありました。
それは、「高粗利であること」「豪華に見えること」、そして「心から喜ばれること」の3つを同時に満たすことです。
たとえば、少ない本数でも大きく、堂々と見える花束の作り方を徹底的に工夫しました。これは原価を抑えながら利益率を高められるだけでなく、受け取った瞬間に「想像以上」と感動してもらえる視覚的な華やかさを生み出すためでもあります。
色のグラデーションの組み合わせ、花の刺し方や角度、空間の使い方など、私なりの計算を入れて独自の思考でアレンジを重ねました。
次に注力したのが、気配りや心配りを個人の努力に頼るのではなく、「サービス」として仕組みに落とし込むことでした。当時の祝い花業界は手書きや手打ちの時代で、名前や名札の誤記、請求書の発送ミスといったトラブルが珍しくありませんでした。
お祝いの場でお客様に恥をかかせるようなミスは絶対にあってはなりません。
だからこそ、人に頼らずにミスを防げる仕組みを作り、さらに納品した花の写真を直接お客様に届けるなどのルールを徹底しました。
これにより、属人化することなく、誰が対応しても一定以上の品質と心配りをセットにしたサービスが提供できるようになり、リピートへと繋がっていきました。
さらにスタッフに繰り返し伝えていたのが「引き算の経済学」という考え方です。経験が浅い人ほど要素を「足そう」としてしまいますが、大切なのは引いてシンプルにし、本質だけを残すことです。要素を削ぎ落とすことでバランスが整い、かえって華やかに映り、利益率も高まります。
また、当時はまだ市場にほとんど存在しなかったLED照明をイベント装飾に組み合わせるなど、異素材を用いた斬新なアプローチも模索しました。簡単で再現性が高く、しかも価値が最大に伝わる。常に「短時間で最高のパフォーマンスを上げる=価値の最大化」を追求していたのです。
「何を売るかよりも、どう価値を最大に設計するか」。
価格競争に巻き込まれず、選ばれる価値をつくるというこの発想は、現在の不動産ビジネスにも一貫して息づいている、私のビジネスの根幹となっています。
