気配りを仕組みにする
わたしが次に取り組んだのは、気配りと心配りを個人の努力ではなく「サービス」として仕組みに落とし込むことでした。
どれだけ丁寧な気配りができても、それが属人的なものであれば、スタッフが変わるたびに品質がぶれてしまいます。
仕組みにしてはじめて、お客様に安定した価値を届けられると考えていました。
当時わたしが導入した取り組みは、大きく2つです。
ひとつは、納品した花の写真をお客様に届けること。
もうひとつは、業務そのものの徹底したシステム化です。
当時の祝い花業界では、名前や名札の誤記、請求書の発送ミスといったトラブルが珍しくありませんでした。
お祝いの場でこのようなミスが起きることは、お客様に恥をかかせてしまうことにもつながります。
だからこそ、ミスが起きないよう人に頼らずに防げる仕組みづくりに力を入れました。
その結果、誰が対応しても一定以上の品質を保てるようになり、商品と心配りをセットにしたサービスとして提供できるようになりました。
「引き算の経済学」が生んだ価値の最大化
当時スタッフに繰り返し伝えていた考え方が、「引き算の経済学」です。
技術や経験が十分でない人ほど「足そう、足そう」としてしまいます。
でも本当に大切なのは、足すことではなく、引いてシンプルにすることです。
要素を削ぎ落とし、本質だけを残す。
そうすることでバランスが整い、むしろ華やかに映り、同時に利益率も高まります。
複雑に見えるものほど価値があるわけではなく、洗練されたシンプルさこそが、強い印象を生むのです。使う材料が少なくなることで、必要な考え方やコツ、最低限の技術を伝えるだけで、アルバイトや未経験者でも同じクオリティのものを再現しやすくなります。
これは現場の負担を軽くするだけでなく、品質を安定させることにもつながりました。
また、フラワーショップでありながら花だけにこだわらない発想も取り入れていました。
当時まだ珍しかったLED照明をイベント装飾に組み合わせたり、バルーンを活用したり。
異素材を組み合わせることで見た目のインパクトは大きくなる一方、制作側にとっては工程がシンプルになり、コストも抑えられ、利益率も高まり、簡単で、再現性が高く、しかも価値が最大に伝わる形です。
わたしの中には常に「短時間で、最高のパフォーマンスを上げる」、つまり「価値の最大化」という考え方がありました。
この発想が結果的に、個人のセンスに依存しない標準化された仕組みへとつながっていきました。
